医療の倫理
医療の倫理についてはたくさんの人がいろいろと書いている。その中でメジャーなのは、ビーチャム&チルドレスが掲げた、医療倫理の四原則ですが、難しいので、紹介程度にとどめ、ここでは、倫理に関係するキーワードだけ書いていきます。
ビーチャム&チルドレスの医療倫理の四原則
医療倫理の四原則
自立尊重原則:患者が自己の価値観や信念に基づいて考えをもち,選択し,行為する権利を認めること
無危害原則:他者に対して危害となるような行動ならびに危害のリスクを負わせることを意図的に控えること
善行原則:他者の利益のために行為すること
正義・公正原則:社会的負担や利益は正義に従い適正に分配すること
「医療倫理学のABC」 服部健司,伊東隆雄.メヂカルフレンド社
日本国憲法
第11条 基本的人権
国民は、すべての基本的人権の享有(きょうゆう 生まれながらにもっていると言う意味)を妨げられない。この憲法が保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。
第13条 幸福追求権
すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第25条 生存権
すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
医療法
第1条
2 医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。
介護保険法
第1条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排泄、食事等の介助、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連携の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
障害者総合支援法
第1条 この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者に関する法律、児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
インフォームド・コンセント
説明と同意。医師等が十分に説明し、その説明を十分に理解した上で同意すること。
個人情報の保護
個人情報とは個人に関する情報で、氏名、生年月日など個人を特定できるもの。病名・病状・病歴も含まれる。
個人情報保護法の例外
個人情報は目的外の使用や第3者への提供について、本人の同意が必要とされていますが、例外があります。①法令に基づく場合、②人の生命、財産の保護に必要がある場合で本人の同意を得ることが困難なときです。
介護福祉士の倫理
介護福祉士の倫理では、日本介護福祉士会の倫理綱領を抑えておきましょう。
日本介護福祉士会倫理綱領
日本介護福祉士会倫理綱領 1995年11月17日宣言
前文
私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。 そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉 の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。
1.利用者本位、自立支援 介護福祉士はすべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。
2.専門的サービスの提供 介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研鑚に励むとともに、豊かな感性と的確な判断力 を培い、深い洞察力をもって専門的サービスの提供に努めます。 また、介護福祉士は、介護福 祉サービスの質的向上に努め、自己の実施した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。
3.プライバシーの保護 介護福祉士は、プライバシーを保護するため、職務上知り得た個人の情報を守ります。
4.総合的サービスの提供と積極的な連携、協力 介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
5.利用者ニーズの代弁 介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割であると確認したうえで、考え、行動します。
6.地域福祉の推進 介護福祉士は、地域において生じる介護問題を解決していくために、専門職として常に積極的な態度で住民と接し、介護問題に対する深い理解が得られるよう努めるとともに、その介護力の強化に協力していきます。
7.後継者の育成 介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。
過去問
今のところ、ないです。