医療的ケア

介護福祉士国家試験対策講座ー医療的ケア 健康状態の把握

健康とは

健康の定義(WHO、1948)

 「健康とは単に病気でない、虚弱でないというのみならず、身体的、精神的そして社会的に完全に良好な状態を指す。」

健康状態のみかた

観察の方法

  • 自分の視覚(みて)・聴覚(きいて)・触覚(さわって)・嗅覚(におい)・味覚(味わう)をつかう。
  • 測定器具などを使用する(血圧計とか、体温計とか)
  • 記録を読む
  • コミュニケーションを通して情報を得る

バイタルサイン(Vital Signs)

バイタルサインとは、生命徴候、つまり,人が生きていることを示すしるしで,生きていることを外から把握することのできる項目で血圧・脈拍・呼吸・体温、意識状態のことをいう

バイタルサインは、異常を早期に発見するために、平常時にも測定をしておきましょう。

体温
  • 身体の内部の温度
  • 代謝活動(主に骨格筋と肝臓)によって生じた体熱
  • 健康な時の体温は、脳の視床下部にある体温中枢の働きにより、ほとんど変動しない
  • 体内で生産された熱(熱産生)と体外へ放出する熱(熱放散)によって一定にコントロールされている
  • 臓器や動脈の血液の温度(深部体温)は37℃、表面では外界の影響を受け、体腔よりも低い体温で維持されている
  • 正常腋窩温は成人で36.0~37.0℃
  • 体温は基礎代謝の影響を受け,乳幼児で高く,高齢者で低めになる
  • 午後2~6時がもっとも高くなり、運動や食事、精神的興奮によって上昇
  • 細菌やウイルスが体の中で活発に動かないよう、身体は体温を上げて、熱を出す。このとき、寒気を感じ、手足が冷たくなり、身体が震える
脈拍
  • 心臓の収縮により、血液が動脈を流れて、体表面近くの血管壁がその弾性によって拍動し、脈拍として触れることができる
  • 橈骨動脈(手首の親指の下)に沿って、第2、3、4指の3指を触れることで、観察できる→親指は使わないこと(相手と自分の脈がぶつかって、正確に測定できないから)
  • 基準値は成人で60〜80回
  • 運動や入浴、食後に増加することがある
  • 回数だけでなく、リズムも観察する
  • 回数が100回以上を頻脈、60回以下を徐脈という
  • 規則正しいリズムで脈拍が抜けるのを結滞、リズムが乱れるのをリズム不整という
呼吸
  • 肺において酸素を取り入れ,二酸化炭素を排出すること←外呼吸
  • 呼吸には外呼吸(肺でのガス交換)と内呼吸(血液と細胞でのガス交換)がある
  • 1分間に12~18回程度の規則的な呼吸が正常
  • 呼吸は本人の意思で変えられるので,観察していることを意識されないように測定することが重要
  • 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2パルスオキシメーターで測定でき、基準値は、100〜95%である。90%以下は末梢組織に酸素を十分に渡せない、呼吸不全の状態
血圧
  • 心臓が血液を押し出したときに、動脈の壁をおす圧力のこと
  • 上腕(うで)にマンシェットを巻いて測定する。マンシェットは指が1〜2本入るくらいの強さで巻く
  • 至適血圧は収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満
  • 高血圧は収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg未満
意識状態
  • 意識障害とは、物事を正しく理解することや、周囲の刺激に対する適切な反応が損なわれている状態
  • JCS(ジャパンコーマスケール)が指標として使われる

急変状態

 生命に危機をおよぼす変化が急に生じたり,事前に予測できなかった変化が急に生じた状態

急変時の対応

  1. 事前に連絡体制を確保しておく(管理者、医師や看護職、家族、そのほかの関係者など必要な範囲の連絡網、緊急連絡先の確認、利用者の予想される状態変化とその時の対応)
  2. 医師・看護師への連絡(利用者の名前、急変時の状況、現在の状態、今後どうするかを確認する)
  3. 記録をしっかりしておく

過去問

30-110 パルスオキシメータ(pulse oximeter)での測定に関する次の記述のうち、適切なものを 1 つ選びなさい。

1 呼吸回数を測定できる。

2 体温を測定できる。

3 静脈血の酸素飽和度を反映している。 

4 末 梢 の血液循環が悪くても正確な値が出る。

5 健康な人の基準値は 95~100%である。

正解は5