安全に喀痰吸引や経管栄養を行うために
- 命を守ることを最優先にすること
- 介護職ができる範囲、役割を正しく理解すること
- 安心につながる確実な行為ができること
- 失敗などを隠さずに報告すること
命を守ることを最優先すること
喀痰吸引や経管栄養は、日常生活を営むのに必要な行為ですが、正しい方法で行わなければ、危害を加えてしまうこともあります。まずは安全に行うこと、そして、万が一のために救急蘇生法などを身につけておくことが大切です。
介護職ができる範囲、役割を正しく理解すること
看護師が医師の指示のもと採血はできても、手術ができないのと同様に、介護福祉士にもできることと、できないことがあることをしっかり理解しておきましょう。
安心につながる
病院にかかった時、採血する看護師の手が震えていたら、不安になりますよね?不安を感じさせない確実な技術を身につけましょう。
失敗などを隠さずに報告すること
日常生活の中でもヒヤリとしたり、ハッとしたり、さらには失敗したりすることがありますよね。次の項目で詳しく書きますが、失敗したこと(アクシデント)だけでなく、ヒヤリとしたこと、ハッとしたことも隠さずに報告しましょう。
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、危機管理と言われています。どれだけ経験のある介護福祉士や医療職でも、エラー(間違い)を起こすことがあると言うことを前提に、対策を立てておくことが義務付けられています。その対策は次の二つです。
- 予防対策:事故を起こさないように予防策を立てておくこと
- 事故対策:事故が発生した時に、被害を最小限にするため、迅速で確実な対応が行えるように対策すること
起きてしまった事故には誠心誠意、迅速、確実に対応し、ヒヤリ・ハットしたことはみんなで共有して、同じ過ちを起こさないようにするため、ヒヤリハット・アクシデント報告が重要です。
ヒヤリハットとは、事故が起こる寸前のこと、アクシデントは実際に事故が起きてしまったことを言います。
ヒヤリハット・アクシデント報告書には、報告者、報告した人、発生日時、発生場所、対象者、実施した行為の種類、第1発見者、出来事の発生状況、医師への報告、連携看護職員への報告、出来事の対応、救急救命処理の実施、出来事が発生した背景・要因、出来事の影響度分類、医師・連携看護職員の助言等が記載されます。
出来事の影響度分類
0 | エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、対象者には実施されなかった |
1 | 対象者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない) |
2 | 処置や治療は行わなかった(対処者観察の強化、バイタルサインの経度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた) |
3a | 簡単な処理や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など) |
3b | 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など) |
4a | 永久的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害は伴わない |
4b | 永久的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害の問題を伴う |
5 | レベル4bをこえる影響を与えた |
0〜2:ヒヤリハット 3〜5:アクシデント
過去問
29-113 経鼻経管栄養を行っている利用者に対して,栄養剤を流す前に経鼻経管栄養チューブの確認をすると,固定テープがはずれて,鼻腔の入口付近でチューブが 10 cm 抜けていた。 このときの介護福祉士の対応として,適切なものを 1 つ選びなさい。
1 抜けた部分を元に戻す。→介護福祉士はできません。医師か看護師にお願いしましょう
2 チューブを鼻から抜く。 →できません。医師か看護師にお願いしましょう
3 胃内に挿入されているかどうかを,気泡音で確認する。 →できません。医師か看護師にお願いしましょう
4 そのまま注入を開始する。 →栄養剤が肺に入って、最悪死んじゃいます
5 注入は行わずに,看護職に状況を報告する。
正解は5